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2016年全国大学入試問題正解 物理

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太宰府天満宮裏山の朝日

2016年全国大学入試問題正解 物理 の場合

物理の場合、昨今問題の難しさから二層構造になっています。難し問題を出す大学とそうでもない平凡な問題を出す大学とはっきり分かれている感じがします。私が毎年解くルーチンは前者の難しい問題を出す大学を優先しています。初見でわりと簡単に解けるものですから、平凡な問題を出す大学はあまり解きません。尚、生徒の志望校になれば、徹底的に研究して解きます。

例年のルーチンは、東京大学理系前期 → 京都大学理系 → 東北大学理系 → 大阪大学理系 → 東京工業大学  → 慶応大学医学部 → 名古屋大学理系 →  東京医科歯科大 → 北海道大学理系→ その他(九州大学理系、 国公立医学部、早大慶応大理系 などなど)

 

ご参考ください。

 

 

 

 

物理の勉強法

メニューに以下の 物理勉強法をあげました。ご参考ください。

受験 物理勉強法

1.全体戦略

化学に比べると暗記することは格段に少ない。ただ、基本的な物理の概念やイメージそして数学的な論理や数式に取り扱いをしっかりしないといけない。
図でイメージつかむこと、教科書の定理公理を自分で導き出せるように何回も練習することの両方のセンスがいる。
 
化学同様、基本的には、基礎概念把握→基礎問題演習→標準問題演習→応用発展問題演習を順に経て、入試問題演習をしっかりこなせば、偏差値60後半はいける。やはり、70台(東大や京大の最難関大)に乗るにはコツがいる。

また、数学との関連性が高いのが注意すべき所である。例えば、物理Ⅱ力学の単振動や電気とくに誘導起電力や交流は数Ⅲの微積がわかってないと、真底まで理解したことにならない。そういった意味では、数学とのスケジュールの兼ね合いが重要になってくる。

問題を解くのは、ワンパターンで、問題文の物理現象を図にイメージして、それを数式に落として、解を求め、物理現象と検証する。まるで、中学の連立や二次方程式の文章題と同じやり方である。極意をつかむのに壁があるように感じる生徒もいるだろうが、一壁乗り越えれば、安定して高得点が期待できるのである。

さらに述べると、単位が重要になってくる。単位がの流れを数式とともに把握することだ。そうすれば、単位によって、自分の立てた数式の正当性がわかるようになる。

2.① 基礎概念把握 

まずは、教科書と写真や図の豊富にあってイメージをさせてくれる参考書を用意しよう。チャート物理ⅠⅡがそのうちの一つである。親切な物理は辞書的にそばにおいても良いが、内容を理解するのは中上級者になってからのほうが良い。
数研 チャート式物理Ⅰ、Ⅱ
ブッキング 親切な物理 上、下
基本的には、各章につき教科書や参考書をしっかり読み、物理現象のイメージと数式の扱いを大雑把に頭に入れたら、基本問題演習に入る。
また、前述したように単位が重要になってくる。単位の流れをしっかり押えておこう。

2.② 基本問題演習

ここは化学と同様である基本概念把握ができたら、基本問題演習に入る。ここでも多量に問題をこなすことだ。基本概念把握ができたら、基本問題演習に入る。ここでは多量に問題をこなすことだ。
化学同様、学校ではセミナー、リード、アクセスなど教科書傍用問題集が配布されると思うが、詳しい解答の別冊を同時に配布してくれたら、その問題集を中心にする。解答集が配らなければ捨てる勇気を持ってもらいたい。

中心となる問題集を設定したら、サブの問題集を用意しよう。市販では、以下がある。
トライアル物理問題集(数研)
チャート式問題と演習(数研)
基礎問題精講(旺文社)
体系物理(教学社)
中心となる問題集を3,4回繰り返した後、このサブの問題集でさらに基礎を強固にする。
 
尚、セミナー、リード、アクセスは各章二部構成になっており、二部は入試問題がいきなりでてくるので、これは次の標準問題演習のステップに回しても良い。

私見では、お薦めは体系物理である。数学のチャートのように、網羅性がものすごくよい。また、公式の導出の問題も豊富にあり、基礎もさらに固まる。惜しむらくは、光学があまりに難しいところと、解説が少し足りないところあるところである。しかし、100%のものはないので、これをベースに他の問題集で補充すればよい。

2.③ 標準問題演習

以下の問題集で自分のフィーリングに合うものを1冊、2,3回繰り返せばよい。
旺文社 重要問題集 各年度版
旺文社 標準問題精講
河合出版 名門の森
私見では、名門の森をお薦めする。。これを、3,4回繰り返してやれば、偏差値65は軽く超えられる。

2.④ 応用発展問題演習 

ただ、東大京大狙いや物理で点を稼ぎたい方は、やはり、聖書的存在、”難問系統とそのとき方”か”理論物理への道標”のどちらかをやる必要があろう。これら本は不思議なオーラの本で、例題100問足らずだが、これをとりあえず2,3回繰り返すと不思議に模試や入試で点が取れる。自分が一段階レベル上にいることが実感できるようになり、入試でもなんとか取れるという冷静さと自信を与えてくれる。

何故か?それは、例題の解説は全て数学の回答みたいに論理の流れがしっかり書かれているし、問題の選考が実に良い。ただ、問題の網羅性は低い。、”難問系統とそのとき方”では章末の演習問題までやればそこまで解決してくれるが、演習問題の巻末解答は薄すぎて独学は無理だろう。過去に演習問題まで指導したことがあるが、授業したあと生徒が自分で復習できるか心配であった。よほどの達人に教えてもらわないと無理だろう。
ニュートンプレス 難問系統とそのとき方
     河合出版     理論物理への道標

2.⑤ 入試問題演習

物理の場合、如実に大学別に問題に特徴があることが多い。東大なら図表グラフを使った思考系、京大なら長い文章で物理の基本概念を導出する穴埋め問題、早稲田ならおよそ隔年に出てくる光学の難問などーーである。

だから、志望校の10年分をまず解くことを前提にして、他の大学も満遍なくやった方が良い。

また、数学のように寝かす必要は東大京大以外には必要ないともいえない。すぐに、答え合わせをして、できなかった問題は、もう一度教科書の関連した分野を読み直して、日を置いて、やり直すと解けることが多い。この寝かし作業でさらに、基本概念がしっかりしてくる。

話はそれるが、東大や京大の入試問題は要は基本概念がしっかり物理的にそして数学的に把握できてくるかをついてくる。それが実は一番難しいのである。
尚、化学同様に理科二教科で正規時間でとる大学は二教科一緒にやって時間配分などの訓練をした方が良い。

2.⑥ センター、私立、国立二次対策

センター対策について

物理の場合も、センターで高得点を取るには、二次の問題を解く底力とセンター問題特有の解くスピード力である。しかし、この両者は日頃、二次の入試問題をしっかり正規時間で練習してきたら、自然とついくる。
また、センター特有のグラフや物理現象考察問題が出てくるので、11月から週1、2回12月から週2、3回過去問または模擬テスト実践演習をすればよい。正規時間で解く事で時間配分や解く順番の感覚を身につければ十分である。
尚、分野別に気なるところがある場合はセンター分野別問題集を仕上げると良い。文系の方は重要問題集のⅠの問題をこなし地力をつけよう。

国立二次対策、私立二次対策
これも数学の場合と同じだが、基礎概念把握→基礎問題演習→標準問題演習→応用発展問題演習をより仕上げて順に経て、入試問題演習をしっかりこなせばよい。入試問題演習は志望校の過去問を10年分やれば、傾向がつかめる。しかし、はずされる場合があるので、同レベルか少し上のレベルの大学の問題も解くと良い。

2.⑦浪人生、現役、高1,2年生

浪人生
これは化学と同じやり方でよいので、化学の章を参考にされたし。

現役生
これも化学も同じやり方でよいので、化学の章を参考にされたし。
高1,2年生
これも化学も同じやり方でよいので、化学の章を参考にされたし。

 
2.⑧ 受験物理の分野別ポイント

☆数学との関連
もともと、歴史的に物理は数学の発展とともに発達してきた。特に、微分積分、三角関数、ベクトルなどは受験物理に密接に関係してくる。物理現象をどうモデル化し数式化にするのが物理といっても過言でもない。だから、微分積分(できればⅢ)三角関数、ベクトルの分野はよく習熟した方が良い。

しかし、数学の出来を待って物理を始めても、時間的に受験に間に合わない。よって、高校数学でⅢまで終わったら、もう一度基礎を、駆け足でよいから、数学的になぞると格段と物理に対する理解度が習熟する。これには、体系物理が一番適している。数学的に基本から物理の問題を問う問題が多いからだ。是非、参考にされたい。さらによくばれば、難問系統がさらによい。

☆単位との関連
物理の公式は単位をしっかり押させておこう。特に、力学と電気、電気と磁場などは単位が異なる分野を統一的に理解する鍵となる。エネルギーの単位は力学、波、気体、電気、磁気などで同じであるので特に重要である。
逆に単位同志の関係がわからなければ物理の基本がおろそかになっている証拠で、受験問題でそういうとこをついてくる上位校では歯が立たないこともしばしばである。
是非、公式を導く際に単位をしっかり把握しておこう。

☆力学
力学で一番大切なのは観測者である。誰が、どの場所で、どう座標系を指定して、運動方程式やつりあいの式を立てるのかしっかりと把握すべきだ。力学において、観測者は神である。好き勝手に座標系を設定し、式を立てる。座標の+-が大きく意味をなす。
次に、数学の解答のように、式をしっかり枕詞を書いて書き、並べることだ。紙に書いてこそ、解がでてくるのである。そうすれば、頭が整理され、式の活用や変形がわかり、解が自然とでてくる。

☆波
波は不得意な生徒が多い。目に見えない音や光波干渉が把握しずらいのだ。
理解するには、まず波を蛇のように移動してくるとイメージしてはいけない。まるで波型が平行移動してくる感じで理解すべきだ。
次にできれば新課程では除外された波の式を扱えるようにすることである。波源が単振動してサイン関数で変位が時間と距離で表せること、サイン関数の中身が位相であることを理解することだ。新課程ではこの波の式は除外されたが、編集者の善意でここであげた参考書問題集には載っているので、是非理解して欲しい。これが、力学の単振動や交流の位相にも関わってくるからだ。
さらに、音のドップラー効果や光干渉ので公式は、ただ覚えるのではなく、導出法まで身につけて欲しい。受験ではこの基本的な導出をついてくることが多いからだ。

☆熱・気体
この分野はまずは、気体の状態方程式をまず並べることだ。各状態の気体の状態方程式を少し隙間を空けて並べるだけでも、情報が整理されて落ち着く。そして、隙間に熱化学エネルギー推移Q=W+U式を書き、出来ればPVグラフで状態を追えば最高である。
また、Ⅱ分子運動論から状態方程式を導くやり方を十分理解して自分ですらすら書けるようにしておこう。

☆電気
まずは、ガウスの法則とクーロンの法則を完全に把握しよう。目に見えない世界なのでわかりずらいが、電気力線の概念を手にしたら、鬼に金棒である。
次に、直流電気回路においては、コンデンサーを主体にキルヒホッフの法則をフル活用にして解く。コツは回路図をしっかり書いて、一部を接地し電位を正確に測ることである。

☆磁場
磁場は電気よりさらに、日常生活からかけ離れているので、わかりにくい。ポイントは電気と磁場をつなぐ公式をしっかり単位的におさえること、磁束線の概念を把握すること、コイルは外部の磁場変化に逆らう反抗的な奴だと思うこと、である。できれば、微分に概念で電磁誘導起電力を導きだすことである。

☆交流
交流は自分で微分を使って、コイル、コンデンサー回路での電流と電圧の関係を導き出し、その簡易法であるベクトル図実効値計算を理解することである。入試では基本的な所がつかれるので、この地道な作業が必要となる。