「大学受験」カテゴリーアーカイブ

東大理Ⅲ合格への道標:その人のもって生まれた資質が大きくかかわってくるものなのでしょうか

先日、以下のお問い合わせをいただきました。

[  お忙しいところ失礼いたします。
私は現在、東大理三を本気で再受験したいと考えております。そこでなのですが、やはり東大理三合格には指導力が高い講師に教授を受けたとしても、その人のもって生まれた資質が大きくかかわってくるものなのでしょうか?(例えば記憶力が異常によいなど)
また、そちらで販売されている出版①は、再受験をするにあたり参考になる部分はあるのでしょうか? ]

私の返事は以下のようです。ご参考ください。東大理Ⅲ合格への道標です。

 東大理三合格には指導力が高い講師に教授を受けたとしても、その人のもって生まれた資質が大きくかかわってくるものなのでしょうか?
  おそらく、いろいろなパターンがあって、理三合格が実現されていると思います。
①私が現役のときのラサールでは、毎年10名前後理Ⅲに合格していましたが、がり勉の方がほとんどでした。 中学上  がりの早熟な方が大多数をしめていました。
②しかし、高校から入った同期で私と同じ位の中の上の一人が、一浪後、理3に合格しましたので、これは、もって生まれた資質よりは努力の賜でしょう。
③中学時代に通った進学塾のクラスに一人もって生まれた資質がずばぬけた友人が、灘校から二浪の末やっと、理Ⅲに合格しました。中学のときは、物が違うと思っていましたが今考えると、ただ超早熟だけだったのかなとも思います。
④愚息の場合のように、私みたいな変わった講師から受験戦略戦術教わって、それを守破離で自分なりに高度化して理Ⅲに合格する人もいるでしょう。
  私の現在の考えは、理Ⅲ合格は生まれた資質はある程度は必要だが、中の上ぐらいで十分で、あとは、やり方が重要で、どれだけ戦略と戦術を練ってやっているかでしょう、というところです。
愚息の場合は特殊な例かもしれないし、でも、もしかしたら普遍的な何かを含んでいるかもしれません。それは、各人の取り方次第です。そういう意味では、出版①は参考になるでしょう。
  ご参考になれば、幸いです。
                          2015.12.18   籐塾 塾長 後藤 浩一  &  後藤浩一

大学受験勉強法総論

メニューに以下の籐塾提唱の大学受験勉強法総論をあげました。ご参考ください。

総論

1.基本戦略

シンプルに言えば、基礎概念把握→基礎問題演習→標準問題演習→応用発展問題演習を何処まで習熟させて、いつ入試問題演習に入るかのタイミングにつきるのである。

大体、やるべき問題集、参考書は定番のもので結構だ。奇をてらったものではなく、長年受験を支えてきた、数研とか旺文社のもので十分である。肝に銘じて欲しいのが、これさえやれば絶対とか、奇跡の・・・とか、大げさなタイトルの本は選ぶべきでない。そんな本で実力がつくなら誰でも東大いける!

そして、志望によって入試問題演習に入るのを基礎問題演習を終えてからなのか標準問題演習を終えてからなのか応用発展問題演習を終えてからなのかきめればいいのである。例えば、東大や難関大とかなら応用発展問題演習をしっかり終えてから、東大や京大や同等の入試問題を解きまくれば、合格する可能性が格段と高まるのである。具体的内容は各論で書くとして、昔からやられてきたオーソドックスな方法でいいのである。

昨今、先を急ぎすぎて、基礎概念把握をおろそかにしたり、各章の熟成を標準問題演習、応用発展問題演習まで十分時間をとって実力をつけずに、次へ次へと先へ進ませる進学校が多いのは閉口する。例えば、数学など公式の証明を軽く流して問題演習につきすすむのではなく、各定理を自分で導きだしたり、イメージを構築し、論理構成をすべきだと思う。入試問題の作問思想の一線はこの論理性が効いてくるのだから。また、各章の熟成をじっくりはかることで応用に必要な知性もついてくるのであ。

また、入試問題演習については、志望校、それより上の大学、類似した入試問題を出す大学を主体に、逆に反対傾向の大学も混ぜながら、正規の時間で解くことである。入試は1,2時間の中でいかに自分の知力を発揮し、答案を書くかのゲームである。思考や手の動きのスピードアップが鍵を握るのである。予行演習を十分やらずして、道は開けない。宮本武蔵ではないが、実戦を百回行えばいいのである。

私の指導経験では、9月の予備校模試でD判定の生徒も、この入試問題演習をじっくり3ヶ月やることで、点をとるコツをつかみ、志望校とそのレベルの大学をいくつも合格した生徒は数え切れない。もちろん、私なりの点をとる技術は多種多様に提供はするのだが。ただし、入試問題演習に入るまでにかなり標準問題演習→応用発展問題をした場合か並行してやった場合に限る。

だから、模試の結果は悪くても自信を持って、基礎概念把握→基礎問題演習→標準問題演習 →応用発展問題を地道にやり続け、本番の最低でも4ヶ月前から入試問題演習をやればいいのだ。これに必ず通るとの信念があれば、結果を必ずついてくる。

そうすると、邪魔になるのが、予備校授業や学校の補習である。私も、ここでいつも頭が悩まされるのである。例えば、浪人生に入試問題をいっぱい解く重要性を口酸っぱくいっても、予備校の授業があるのだからとか、予備校の友達もそうだからとかで逃げてしまう連中が少なからずいる。もう十分に標準、応用力養成はしたのだから、後は自分で実際の入試問題を自分の頭で汗水かいて解いて実践力をつけるべきなのである。

私の指導では、生徒の志望校を中心に上のレベルや全領域型の入試問題をその場か宿題で正規時間で解かせ、すぐ採点して間違ったところの解説を十分行い、補充プリントだし、また、寝かせる問題も指示し粘りをつけさせる。これは本当に自分の脳力を使い切る過酷な作業だが、生徒は本当にこれで伸びるのだから、身を削ってやっている。

2. 予備校生、浪人の基本戦略

浪人生であれば、3月から6月まで基礎問題演習→標準問題演習を追え、7月から9月までで総復習と応用発展問題演習を行い、9月からがひたすら入試問題演習をやるべきだ。しかし、予備校の授業は一般的に遅いし、1対多であるから個人個人に合わせられない。一回高校を終えているのだから、夏までに一回は仕上げとないと勝負にならない。

3 現役生の基本戦略

高3であれば、学校の進捗状況によるが、2年までに習った分野の基礎問題演習→標準問題演習→応用発展問題演習と現在習っている分野の基礎概念把握→基礎問題演習をしっかり行い、夏休みを利用して全分野を終わらせるべきであろう。9月か10月までで総復習と応用発展問題演習を行い、11月からがひたすら入試問題演習をやる。あとは、最後の追い込みにかけるべきだ。
 
4 現役生の基本戦略

高1,2であれは、じっくり各教科の各章の基礎概念把握→基礎問題演習→標準問題演習→応用発展問題演習までじっくりやるべきである。学校のペースが早すぎるところは、自分で何とかしながらでもやるべきだ。学校の定期の成績がたまに悪くても気にしないことだ。学校のペースが早すぎて合わないこともある。

私の指導の例でも、京大医学部を狙っていた高2の生徒がたまたま定期の数学で平均以下を取っただけで、親から指導回数を減らされ京大への道をたたれたケースがあった。ちょうど定期試験範囲の前の分野の標準力養成を行っていて、本人が定期は大丈夫と言っていたので任せたのが悔いは残るが、親がわかっていないので、この子の運命と思い何も言わなかった。

子供が何処まで伸びるかは母親を見ればすぐわかるものである。長い目で戦略を立て受験勉強するなら、時には定期も悪くなることもある。それに過敏にならないことだ。この子の場合、母親が受験のことをまったくわかっておらず、ヒステリックで可愛そうであったがーーーー。

5 週間勉強スタイル

週間復習型勉強スタイルも紹介しよう。人間は100に覚えたことは1週間すると平均20ぐらいしか覚えていない。だから、1週間のまとめを土日にやらないと、学力が定着しないのである。何も数時間かけてやれというのではなく、1週間やった分を問題集、参考書、教科書についてぱらぱら見るだけでもいい。気になるところを集中的にやればよい。何事もメリハリである。

7 完璧主義はゆるめに

最後に、注意点を述べる。基礎概念把握→基礎問題演習→標準問題演習→応用発展問題演習と順を経て進むのではあるが、各段階を完璧にしてから進むという100%主義は辞めた方いい。理想的にはそうであるが、時間との制約があるので、基礎概念把握、基礎問題演習は九割程度、標準問題演習、応用発展問題演習八割程度の完成度で進めても良いと思う。わからない部分は先に進めていくうちにわかるようになることが多々あるからである。時間がないときはもっと完成度を低くしても良い。受験は時間との勝負である。少しぐらい弱い所があっても、強い部分で勝負する手もあるから、あまり神経質にならないことである。